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AI検索のコンバージョンは率より経路で見る。CVRの実態と計測・改善の手順

ChatGPTやPerplexityからの流入が少しずつ増えてきたものの、それが問い合わせや売上につながっているのか分からず、AIO対策に予算をかける根拠を説明しにくい。そんな状況の方に向けて書いています。

先に結論を書くと、AI検索のコンバージョンは「CVRが高いかどうか」だけで判断すると見誤ります。AI経由の流入はまだ量が少なく、CVRの調査結果も業種や対象によって大きく割れています。見るべきなのは、AIの回答をきっかけに起きる3つの経路(直接クリック、後からの指名検索、比較検討時の候補入り)をまとめて追うことです。

この記事では、公開されている調査からAI経由のコンバージョンの実態を整理したうえで、GA4での計測手順、AI経由の訪問者が問い合わせしやすいページの作り方、成果を判断するときの指標の組み方までを解説します。

AI検索のコンバージョンは「率」より「量と経路」で見る

AI検索のコンバージョンを判断する3つの視点
AI検索のコンバージョンを判断する3つの視点

AI検索から来た訪問者はコンバージョン率が高い、という話をよく目にします。AIとの対話で疑問を解消してから訪れるので、購入や問い合わせの直前にいる人が多いという理屈です。理屈としては筋が通っていますが、調査を並べてみると、そう単純ではないことが分かります。

AI経由のCVRは高いという話の出どころ

AI経由のCVRが自然検索の数倍という数字は、主に海外のツール提供会社や分析会社の発表から広まりました。ただ、Forbes JAPANに転載された寄稿によると、こうした倍率は発表元によって3倍程度から20倍を超えるものまで幅があり、対象が検索マーケター向けの自社サイトだったり、ニュースサイト中心だったりと、前提がそろっていません。

自社の顧客層がAIツールを日常的に使う層であれば、AI経由のCVRが高く出るのは自然です。その数字を、別の業種のサイトにそのまま当てはめることはできません。

調査ごとに結果が分かれる理由

同じ寄稿では、95サイトの12ヶ月分のデータを集計した結果として、AI経由のCVRは自然検索の1.18倍にとどまったと報告されています。さらに、コンバージョンを計測できたサイトの37%では、AI経由のCVRのほうが自然検索より低く、BtoBの製品企業に限ると0.62倍でした。

国内では、PLAN-Bマーケティングパートナーズが自社クライアントのサイトを対象に行った「生成AI経由の流入およびCVR調査」があります。2ヶ月間の比較で83%のサイトが生成AI経由のセッションを伸ばした一方、生成AI経由のCVRが他の経路より高かったサイトは35.1%にとどまりました。

調査対象CVRに関する結果
Forbes JAPAN転載の寄稿95サイト・12ヶ月全体で自然検索の1.18倍。37%のサイトでは下回る
同上(BtoB製品企業)上記の内数自然検索の0.62倍
PLAN-Bマーケティングパートナーズ自社クライアントの複数サイトAI経由のCVRが他経路より高いサイトは35.1%
ツール提供会社などの発表自社サイトや特定業種3倍から20倍超まで幅がある

結果が分かれる理由は主に3つあります。

  • 対象サイトの業種と顧客層が違う
  • コンバージョンの定義(購入、資料請求、会員登録)が違う
  • AI経由のセッション数が少なく、数件の差で率が大きく動く

流入量で見ると構図が変わる

率よりも先に確認したいのが量です。先の寄稿では、自然検索はAIアシスタントの39倍のトラフィックを送っており、コンバージョン数にすると自然検索100件に対してAI経由は3.2件でした。PLAN-Bの調査でも、生成AI経由の流入は割合の大きいサイトでも全体の1%未満です。

つまり、AI経由のCVRが多少高くても、それだけで事業の数字が大きく動くわけではありません。AI検索のコンバージョンを評価するときは、クリックされた分だけでなく、AIの回答がきっかけで起きている別の動きまで含めて見る必要があります。それが次に説明する3つの経路です。

AI検索がコンバージョンにつながる3つの経路

AI検索から問い合わせに至る3つの経路
AI検索から問い合わせに至る3つの経路

AIの回答に自社が登場したとき、ユーザーの動きは大きく3つに分かれます。GA4で見えるのは1つ目だけで、残りの2つは別の数字に紛れ込みます。

経路1 回答内のリンクから直接訪れる

ChatGPTの検索機能やPerplexityは、回答の中に参照元のリンクを表示します。そこをクリックして訪れ、そのまま問い合わせや購入に進むのが最も分かりやすい経路です。GA4では参照元が chatgpt.com や perplexity.ai として記録されるので、計測もしやすい部分です。

ただし、AIの回答は読んだだけで疑問が解決することが多く、リンクがクリックされる割合は通常の検索結果より低いと見られています。ここだけを成果として数えると、AI検索の影響を小さく見積もることになります。

経路2 社名を覚えて後から指名検索する

AIの回答で「こういう会社がある」と知ったユーザーが、その場ではクリックせず、後日Googleで社名やサービス名を検索して訪れるケースです。GA4上は自然検索(指名キーワード)として記録されるため、AI検索の効果としては見えません。

BtoBの商材や単価の高いサービスでは、比較検討に時間がかかるので、この経路の比重が大きくなりやすいと考えられます。

経路3 比較検討の段階で候補に入る

「AIO対策の会社を比較して」「中小企業向けの会計ソフトでおすすめは」のような質問に対して、AIが候補を挙げる場面があります。ここで名前が挙がると、ユーザーの検討リストに入ります。最終的にはブックマークや直接入力、営業担当への問い合わせといった形で接点が生まれるため、GA4ではノーリファラーや直接流入に含まれます。

経路GA4での見え方確認する数字
直接クリック参照元にAIサービスのドメインAI経由のセッション数とCV数
後からの指名検索自然検索(指名キーワード)Search Consoleの指名クエリの表示回数
比較検討での候補入り直接流入・ノーリファラー問い合わせ時の「何で知ったか」の回答

3つの経路を合わせて見ると、AI検索の影響は「AI経由のコンバージョン数」より広い範囲に出ていることが分かります。逆に言えば、経路1の数字だけで「AIO対策は効果がない」と判断するのは早すぎます。

AI経由のコンバージョンを計測する手順

AI経由のコンバージョンを計測する3ステップ
AI経由のコンバージョンを計測する3ステップ

経路ごとに見える数字が違うので、計測も3つに分けて組み立てます。どれも大きな開発は不要で、既存のGA4とSearch Console、問い合わせフォームの設定で始められます。

GA4で参照元をAIサービスごとに分ける

GA4の「トラフィック獲得」レポートで、セッションの参照元にフィルタをかけると、AI経由のセッションを抜き出せます。毎回フィルタを作るのは手間なので、チャネルグループに「AI検索」というチャネルを追加しておくと、自然検索や広告と並べて比較できるようになります。

参照元として登録しておきたい主なドメインは次のとおりです。

  • chatgpt.com(ChatGPT)
  • perplexity.ai(Perplexity)
  • gemini.google.com(Gemini)
  • copilot.microsoft.com(Microsoft Copilot)
  • claude.ai(Claude)

AIサービスのドメインは変わることがあるので、四半期に1回は参照元の一覧を見直し、新しいドメインが出ていないか確認します。なお、GoogleのAIによる概要(AI Overviews)からのクリックは自然検索として記録され、GA4では区別できません。

指名検索と直接流入の推移を合わせて見る

経路2と経路3は直接は測れないので、推移で見ます。Search Consoleで社名やサービス名を含むクエリの表示回数とクリック数を月ごとに記録し、AI経由のセッションの推移と並べます。直接流入のセッション数も同じ表に入れておきます。

ここで注意したいのは、指名検索が増えた理由はAI検索以外にもあることです。広告出稿、展示会、メディア掲載、SNSでの話題など、同じ時期に動いた施策を横に書き添えておくと、後から見たときに判断を誤りにくくなります。

問い合わせフォームで「何で知ったか」を聞く

最も確実なのは、問い合わせした本人に聞くことです。フォームに「当社を知ったきっかけ」の項目を設け、選択肢に「ChatGPTなどのAIの回答」を入れておきます。営業担当が初回の打ち合わせで口頭で聞き、CRMに記録する方法でもかまいません。

自己申告なので正確な数字にはなりませんが、GA4では直接流入に紛れてしまうコンバージョンを拾える唯一の手段です。件数が少ない段階でも、どんな質問をAIにして当社を知ったのかを聞けると、次に作るべきコンテンツのヒントになります。

AI経由の訪問者がコンバージョンしやすいページの作り方

AI経由の訪問者を問い合わせにつなげる優先順位
AI経由の訪問者を問い合わせにつなげる優先順位

計測の土台ができたら、次は着地したページ側の改善です。AI経由の訪問者は、検索結果から来る訪問者と事情が少し違います。AIとの対話で基本的な情報はすでに得ており、その「続き」を確かめに来ていることが多いからです。

着地ページで答えの続きを用意する

AIの回答で引用されたページに訪れたユーザーは、回答の中身を裏付ける情報や、もう一歩踏み込んだ情報を探しています。そこで基本的な説明から始まると、知っている話を繰り返されることになり、離脱しやすくなります。

引用されやすい記事ほど、冒頭に結論を置き、その後に具体的な判断材料を並べる構成にしておくと、AIの回答から来た人にも検索から来た人にも読みやすいページになります。記事の書き方そのものは、AIに引用されやすい記事の書き方を解説した記事(https://aio.qujira.biz/blog/ai-inyo-sareyasui-kiji/ )で詳しく扱っています。

料金・条件・事例を探さずに見つかる状態にする

AIで下調べを済ませた訪問者が最後に確かめたいのは、料金、契約条件、対応範囲、導入事例といった判断材料です。これらがサイトの奥に埋もれていると、比較検討の段階で候補から外れてしまいます。

AI経由の訪問者が確認したい情報を、着地ページから1クリックで届く位置に置いておくのが基本です。

  • 料金と初期費用、最低契約期間
  • 対応している範囲と、対応していないこと
  • 導入までの流れと期間の目安
  • 問い合わせ後に何が起きるか

BtoBは資料請求など軽いコンバージョンを用意する

先の寄稿でBtoB製品企業のAI経由CVRが低めに出ていたのは、AI経由の訪問者が情報収集の段階にいることが多いためだと考えられます。いきなり商談や見積もりを求めるフォームしかないと、その段階の人は何もせずに帰ってしまいます。

資料ダウンロードや無料診断のように、検討の初期でも申し込みやすいコンバージョンを用意しておくと、AI経由の訪問者との接点を残しやすくなります。

コンバージョンの種類向いている検討段階AI経由の訪問者との相性
資料ダウンロード情報収集・比較高い。下調べの延長で申し込める
無料診断・相談比較・具体化中程度。課題が具体的な人に向く
見積もり・商談発注直前低め。AI経由だけでは件数が出にくい

AI検索の成果を判断するときの指標の組み方

AI検索の成果を判断するときの指標の比較
AI検索の成果を判断するときの指標の比較

ここまでの計測ができても、どの数字をいつ見て判断するかを決めておかないと、AIO対策を続けるかどうかの議論が毎月振り出しに戻ります。当社がAIO対策代行で月次レポートを作るときも、この点を最初に決めています。

先行指標と遅行指標を分けて見る

AI経由のコンバージョン数は、施策から結果が出るまでに時間がかかる遅行指標です。月ごとの増減に一喜一憂しても判断材料になりません。そこで、施策の実行と近い位置にある先行指標を並べて見ます。

種類指標の例見る頻度
実行量改善した記事数、掲載に動いた外部媒体の数毎月
先行指標主要な質問でAIの回答に自社が出た回数、AI経由のセッション数毎月
中間指標指名検索の表示回数、資料ダウンロード数四半期
遅行指標AI経由と申告された問い合わせ数、受注数半年

AIの回答に自社が出るかどうかは、質問の言い回しや時期によって変わります。決まった質問のセットを用意し、毎月同じ条件で確認すると、比較できる数字になります。確認の方法はAI検索での表示状況を確認する方法をまとめた記事(https://aio.qujira.biz/blog/ai-kensaku-juni-kakunin/ )で解説しています。

半年単位で続けるかどうかを判断する

AIの回答に使われる情報は、ページの更新から反映までに時間差があり、外部媒体への掲載も準備に時間がかかります。月単位で成果を判断すると、反映前に施策を止めてしまうことになりがちです。

当社では、月ごとの実行量と先行指標をレポートで報告し、続けるかどうかの判断は半年を目安にしていただくようお伝えしています。そのうえで、AIの回答に出ることや、それによる問い合わせの増加は保証していません。AI側の仕組みを外部から制御することはできないためです。責任を持てるのは、決めた作業を毎月実行することと、その結果を数字で報告することです。

見誤りやすい判断の例

AI経由のコンバージョンを評価するときに起きやすい誤りをまとめておきます。

  • AI経由のセッションが少ないことだけを理由に施策を止める
  • 1〜2件のコンバージョンからCVRを計算して他チャネルと比べる
  • 指名検索の増加を、他の施策を確認せずにAIの効果とみなす
  • 海外調査の倍率を、そのまま自社の売上予測に使う

どれも、数字そのものは正しくても、解釈の前提がずれている例です。率よりも経路、単月よりも推移で見ることを意識すると避けられます。

よくある質問

AI検索からの流入はコンバージョン率が高いのですか?

一概には言えません。公開されている調査では、自然検索より高いという結果と低いという結果の両方があります。95サイトを集計した調査では全体で1.18倍でしたが、37%のサイトでは下回り、BtoB製品企業では0.62倍でした。自社のGA4でAI経由のセッションを分けて、実際の数字を確認するのが確実です。

AI経由のコンバージョンが0件なら、AIO対策は意味がないのでしょうか?

GA4上の0件だけで判断するのは早いと考えます。AIの回答で社名を知った人は、後から指名検索や直接入力で訪れることが多く、その分はAI経由として記録されません。指名検索の推移や、問い合わせ時に「何で知ったか」を聞いた結果と合わせて判断してください。

GoogleのAIによる概要からの流入は計測できますか?

現時点のGA4では、AIによる概要のリンクから来た訪問は自然検索として記録され、通常の検索結果からの訪問と区別できません。Search Consoleでも同様です。表示回数やクリック数の変化から推測するか、AIによる概要に自社が出ているかを定期的に目視で確認する方法になります。

AI経由のコンバージョンを増やすには何から始めればよいですか?

まずは計測を整えることです。GA4にAI検索のチャネルを作り、問い合わせフォームに「知ったきっかけ」の項目を加えるだけで、現状が見えるようになります。そのうえで、AIの回答から来た人が確認したい料金や条件、事例を着地ページから届く位置に置き、資料ダウンロードのような軽いコンバージョンを用意します。

まとめ

AI検索のコンバージョンは、CVRが高いかどうかだけで判断すると見誤ります。要点を振り返ります。

  • AI経由のCVRは調査によって結果が割れており、高いとは限らない
  • AI経由の流入はまだ量が少なく、率より量と経路で見る必要がある
  • 直接クリック、後からの指名検索、比較検討での候補入りの3経路を合わせて追う
  • GA4のチャネル設定、指名検索の推移、問い合わせ時のヒアリングで計測する
  • 着地ページに判断材料を置き、資料ダウンロードなど軽いコンバージョンを用意する

AIの回答に出ることは保証できませんが、出たときに取りこぼさない準備と、効果を正しく測る仕組みは今から整えられます。

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