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AI検索がBtoBに与える影響。候補リストの段階で何が起きているのか

自社のサービスは、いつの間にかAIの回答に載らないまま比較されているのではないか。BtoBの集客を担当していて、そう感じ始めた方に向けて書いています。

先に結論です。BtoBでのAI検索の影響は、アクセス数の増減よりも、購買担当者が最初に作る候補リストに入れるかどうかに出ます。各社の調査では、BtoBの購買担当者の8割以上が生成AIを選定に使っていると答えており、しかも多くは最終確認として公式サイトを見に来ます。つまり、AIの回答で名前が挙がらなかった会社は、公式サイトを見てもらう段階にすら進めません。この記事では、調査の数字を整理したうえで、影響の出る場所、自社への影響を点検する手順、整えるべき情報までをまとめます。

BtoBの購買で、AI検索が入り込んでいる場所

BtoBの購買は、課題の整理から稟議の承認まで、複数の段階を踏んで進みます。AI検索は、その全部に均等に入り込んでいるわけではありません。調査を読むと、影響が大きい場所は次の4つに偏っています。

BtoB購買でAI検索が使われる4つの場面
BtoB購買でAI検索が使われる4つの場面

課題の整理と候補の洗い出し

購買の最初の動きは、検索エンジンに社名やサービス名を打つことではなく、課題をそのままAIに投げることに移りつつあります。たとえば「請求書の処理を自動化したいが、従業員50人規模で使えるサービスはどれか」といった聞き方です。この段階でAIが挙げた数社が、そのまま候補リストの土台になります。

比較表の作成と費用感の確認

次に多いのが、複数サービスの違いを整理させる使い方です。調査では、比較表の作成や、料金・内容の比較にAIを使う人が多数出ています。人手で表にまとめていた作業を、AIが数秒で代わりにやる構図です。

社内説明の準備

AIは社内向けの説明資料づくりにも使われています。HubSpot Japanの調査では、AIで得た情報を社内説明や稟議に使う人のうち、事実確認や加筆修正をしている人が約半数、ほぼそのまま使う人も4人に1人ほどいました。AIの回答が、そのまま稟議書の文面になる場面があるということです。

最終確認としての公式サイト参照

AIで候補を絞ったあとは、公式サイトで確かめる動きが残ります。ベーシックの調査では、AIだけで十分と考える人は1.6%にとどまりました。公式サイトの役割は消えておらず、位置づけが「探す場所」から「確かめる場所」に移っています。

整理すると、AI検索が入り込む場所は次のとおりです。

  • 課題を文で投げて、候補を挙げさせる
  • 候補を比較表にまとめさせ、費用感をつかむ
  • 社内説明や稟議の下書きに使う
  • 最終確認では公式サイトや担当者の説明に戻る

調査の数字で見る、BtoBへの影響の大きさ

影響が本当に大きいのかは、数字で確かめておく必要があります。ここでは、公表されている複数の調査を並べます。調査ごとに対象も設問も違うため、数字同士を直接比べることはしません。見るべきなのは、どの調査でも同じ方向を向いているかどうかです。

調査から見える3つの傾向
調査から見える3つの傾向

主な調査の数字

調査対象主な結果
HubSpot JapanBtoB購買関与者1,573名購買判断に影響を与えたものとしてAIサービス・AI検索が41.6%で最多
IDEATECHBtoB購買担当502名生成AIで選定した人が90.6%。入口はAI・AI検索36.5%、検索エンジン24.9%
イニシャル(PADDLE)BtoB724名AIを参照する人が85.2%。最初に検討した会社を選んだ人が54.1%
ベーシックBtoB300名生成AI・AI検索を使う人が86.0%。AIの回答が候補に影響すると答えた人が84.5%

調査会社も時期も違いますが、BtoBの購買担当者の大半が生成AIを使っているという点は一致しています。入口の比率でもAI・AI検索が検索エンジンを上回る調査が出ていることは、押さえておく価値があります。

数字を読むときの注意点

注意したいのは、使っていることと、信じていることは別だという点です。HubSpot Japanの調査では、購買検討で信頼できる情報として、AIや生成AI検索のまとめを挙げた人は37.8%で、10項目の中で最下位でした。上位は、価格や追加費用、契約条件が明瞭な情報、担当者の個別説明、導入事例でした。

この結果は、次のように読めます。

  • AIは候補を作る道具として使われている
  • 信用の裏づけは、公式サイトの料金・事例・担当者の説明で取っている
  • だから、AIにも公式サイトにも、同じ事実が載っている状態が必要になる

AIの回答に載ることと、公式サイトで確かめられることは、両方そろって初めて意味を持ちます。

影響はアクセス解析ではなく、候補リストに出る

ここまでの数字から、BtoBのAI検索の影響が分かりにくい理由が見えてきます。影響の中心が、サイトに来る前の段階で起きているためです。

影響が出る場所の3層
影響が出る場所の3層

AI経由の訪問は少なく見える

米国のProfoundの分析では、AIで言及されたブランドへの訪問は平常時の1.5〜2.5倍になった一方、AI経由と識別できた訪問は全体の約2.5%でした。AIで知った担当者が、後から社名で検索したり、URLを直接開いたりすると、アクセス解析上はAI経由に見えません。

日本の調査でも、GMO NIKKOの調査では、マーケティングや広報、Web担当者の対応の最大の壁は、効果測定やKPI設計(37.9%)でした。懸念は強いのに、測り方で止まっている企業が多いということです。

見えない影響を、3つの層で捉える

アクセス数だけを見ていると、影響を見落とします。次の3層に分けて見ると、状況をつかみやすくなります。

層何が起きるか見る場所
候補に入るAIの回答で社名が挙がる主要な質問をAIに聞いて確認する
指名される社名で検索される、直接訪問される指名検索の数、直接流入の数
問い合わせに至る比較検討の後半で問い合わせが来る問い合わせ時の「どこで知ったか」の回答

3層のうち最初の「候補に入る」は、アクセス解析には出ません。自分でAIに質問して確かめる以外に、確実な見方がないのが現状です。

自社への影響を点検する4つの手順

影響の大きさを知るには、一般論ではなく自社の状況を確かめる必要があります。専用のツールを買わなくても、次の4つの手順で一通り確認できます。

自社への影響を点検する手順
自社への影響を点検する手順

手順1:顧客がAIに聞きそうな質問を10本作る

営業や問い合わせの現場で実際に聞かれる質問を、文のまま書き出します。「うちの規模で使えるか」「他社と何が違うのか」「費用はいくらか」といった、検討の途中で出る質問が中心です。社名やサービス名を入れた質問だけでなく、入れない質問を半分は混ぜます。

手順2:複数のAIに同じ質問を投げて記録する

作った質問を、普段使われていそうなAIに投げます。それぞれの回答で、自社が挙がるか、どの競合が挙がるか、どの媒体が参照されているかを表に記録します。回答は日や言い方で変わるため、1回で判断せず、数日あけて繰り返します。

手順3:挙がらなかった理由を、情報の不足で切り分ける

自社が挙がらなかった質問について、原因を探します。よくある原因は次のとおりです。

  • 料金や対象規模が公式サイトに書かれていない
  • 強みが「高品質」などの抽象表現で、事実が書かれていない
  • 導入事例が少なく、数字や条件が載っていない
  • 比較記事や費用相場の記事など、第三者の媒体に載っていない

手順4:問い合わせの経路を聞く欄を足す

アクセス解析に出ない影響は、問い合わせ時の自己申告で拾います。問い合わせフォームに「何で知りましたか」という選択欄を作り、選択肢に生成AIを加えます。件数は少なくても、傾向をつかむ手がかりになります。

BtoB企業が整えておくべき情報

点検で見つかった不足を、どこから埋めるか。BtoBでは、調査の数字が優先順位をほぼ教えてくれています。

整えるべき情報の優先順位
整えるべき情報の優先順位

調査の数字と、対応するページ

購買担当者が求めるもの調査の数字用意するページ
料金を事前に知りたいIDEATECHの調査で56.8%料金の考え方、目安、含まれる作業
事例を確認したいイニシャルの調査で36.6%導入事例(規模、課題、結果)
強みを把握したいイニシャルの調査で37.0%他社との違いを事実で書いた説明
注意点を知りたいHubSpot Japanの調査で33.8%向かないケース、失敗例

IDEATECHの調査では、問い合わせフォームに記入せずに情報を見ている人が84.7%いました。フォームに進む前に、読むだけで判断できる情報が求められているということです。

料金と注意点を隠さない

料金は、細かい金額を出せなくても、考え方と目安を書くだけで違いが出ます。HubSpot Japanの調査でも、信頼できる情報の1位は価格や追加費用、契約条件が明瞭な情報でした。注意点や向かないケースを書くことも、信頼につながります。AIは、こうした事実がまとまって書かれたページを拾いやすくなります。ただし、拾われることは保証できません。

第三者の媒体にも載せにいく

自社サイトだけでは、AIの回答に十分に届かないことがあります。比較記事や費用相場の記事など、AIが参照しやすい媒体に自社の情報が載っているかも確認します。当社のAIO対策代行では、コンテンツをAIが引用できる形に直す作業と、AIが引用している媒体に載せにいく作業の2つを行います。

よくある質問

BtoBでは、AI検索の影響はBtoCより小さいのですか

調査を見る限り、小さいとは言えません。BtoBの購買担当者は複数の候補を比較し、社内説明のために情報を整理する必要があるため、AIとの相性が良い場面が多いです。ただし、最終確認は公式サイトや担当者の説明で行う傾向が強く、AIだけで決まるわけではありません。

AI経由のアクセスがほとんどありません。対策は不要ですか

不要とは言えません。AIで知った担当者が、後から社名で検索したり、直接訪問したりすると、AI経由とは識別されません。アクセス数が少ないことと、候補に入っていることは別の問題です。まずは主要な質問で自社が挙がるかを確認してください。

料金を公開できない場合はどうすればよいですか

金額そのものを出せなくても、料金の決まり方、含まれる作業、おおよその幅を書くことはできます。何も書かないよりも、判断の材料になります。

対策をすれば、AIに必ず取り上げられますか

取り上げられるとは保証できません。AIの回答は、質問や時期、参照する情報によって変わるためです。できるのは、事実が確認しやすい形で情報を整えることと、実行した量と結果を毎月記録することです。

まとめ

BtoBでのAI検索の影響は、アクセス解析の数字よりも前の、候補リストを作る段階に出ます。調査では購買担当者の大半が生成AIを使っており、AIの回答が候補に影響すると答える人も多数でした。一方で、AIの要約を信頼している人は多くなく、最終的には料金、事例、担当者の説明で確かめています。

やることは次の3つです。

  • 顧客がAIに聞きそうな質問を作り、自社が挙がるかを確認する
  • 料金、事例、強み、注意点を公式サイトに事実で書く
  • 問い合わせ時に、知った経路を聞く欄を作る

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